JBL 4343B
若い頃憧れたってだけで今でも売れてる古めかしいスピーカーで,どうせ音も古臭いんだろ?
なんて舐めてると痛い目にあいますこのスピーカー。音場の広さや解像度ばかりに気を取られて大切な音像を忘れてしまった
現代のハイエンドスピーカーとは一味違った,高能率で抜けの良い,そして濃い音増を力強く押し出してきます。



1.JBL 4343Bとは?
ハーツフィールドやパラゴン,オリンパスなど今では大変高値で取引されるヴィンテージ時代のJBLから,家庭用イメージへの脱却を目ざし製作されたスタジオモニターシリーズが1971年,初代モデルとして30cm3wayの4310と,38cm2wayの4320が発売されました。
更に1974年に発売された2way4331に引き継がれ,4331と同時期に発売された3way4333も同様に発売。そして2way4331,3way4333と時を同じに発売されたのが4wayモニター4341です。。
そして4341が1976年に4343となったのです。更に全てのユニットがアルニコ磁石だった初期4343に大して1979年に発売された4343Bは25cmミッドバスと38ウーファーが大型のフェライト磁石となり,従来のアルニコユニットよりも更に磁気変調歪みの改善が施されたのでした。4343は日本では年間最高6500本,累計2万台以上も売れたという当時の市場を席巻したのでした。その大反響を受けそれまでのスタジオモニターシリーズではプロフェッショナル使用のシルバーフィニッシュモデル(黒バッフルにグレーのエンクロージュ)からコンシューマー向けに最新機種4348や4338にも続くブルーバッフルモデルが発売されました。
ちなみに当時アルニコモデルの4343(4343Bに大して今では4343Aなどとも呼ばれる)の定価がペア147万円。4343Bのブルーバッフルモデルが126万円で,シルバーフィニッシュモデルが120万円でした。

2.4343Bとの出会い
今でも4343の人気は凄いものがあります。(2006年秋発売のAudio Accessory誌の122号の読者が選ぶオーディオ銘機100選ではYAMAHAのNS-1000Mに次いで2位でした。5位にJBLパラゴン,6位にB&W Matorix801〜800D,11位にMcIntosh MC275などが並んでいるのでいかに凄いかが分かります。)
そんなわけで僕も4343の名前自体は知っていました。ジャズ向きのけっこー渋いデザインのスピーカーくらいの認識でしたが。
そんな中今年(2007年)の7月,オーディオみじんこのみじんこさんに案内されて立ち寄ったハイファイ堂秋葉原試聴室で初めて実物を目にしました。初めてスピーカーというものに一目惚れしました。何てカッコ良いんだろうか。本当に驚いたのを今でも覚えています。すると店員さんが「何かお掛けしましょうか?」と仰ったのですが,あいにくその日はクラシックやポピュラー系のCDしか持っていませんでした。やっぱJazzしか鳴らないだろうしなぁと思って「すいませんコレ女性ボーカルのCDなんですけど良いですか?4343には向いてないと思うんですが・・・。」
店員さんの一言がその日一番印象に残っています。

「4343に苦手な曲なんてありませんよ。」

かくして別にボーカルがそこに立って歌ってると錯覚するような透明度と解像度を持つ音でも,コンサートホールの大きさが把握出来るくらい音場感がある音でも,スタジオが見渡せるくらい奥行きのある音でもなく,言ってみれば全くハイエンドな音とは違う,でも音の一粒一粒がとても力強く,輪郭のハッキリとした音像が展開,そしてそれらが前に前に張り出してくる,とても濃厚かつ存在感ある音に生まれて初めて出会ったのでした。
確かに個性は強いかもしれませんが,この音に出会ってからどうもそれまで素晴らしいと思っていた昨今のハイエンドスピーカーの音が小綺麗過ぎて薄っぺらくて面白みのない音に聴こえてしまって仕方ありません。その日の帰りの電車でずっとあのスピーカーを絶対手に入れてやると思ったのでした。

3.4343B導入編!
そして2007年12月,ついに我が家に4343Bがやってきた!

4.4343Bの基礎知識
4343Bという4wayスピーカーにはどのようなユニットがどのようなネットワークを経て音楽を鳴らしているのか。
非常に個性的なユニットを一つずつ写真を交えて解説していきたいと思います。