HTPCに使用するパーツ
実際に僕が選んで購入した各パーツを紹介します。やみくもに選んだ物は一つもありません。
全てに必ず選んだ理由がありますので参考にしてみて下さい。
基本的にHTPCはシンプルisBESTです。単純な構成の方がノイズ源となる物が少ない訳です。
1.CPU ヒートシンク | Coppermineコア Celeron900MHz SL5LX サーマルコンポーネン85EX60×60 |
2.マザーボード メモリ | ASUSTek CUSL2-C PC100-CL2 ECC SDRAM SAMSUNGチップ 256MB |
3.ハードディスク DVDドライブ | HGSTHTS541212H9AT00 |
4.PCケース 電源 | OrigenAE製H5 SeasonicSS-350SFE |
5.キーボード,マウス,ネジ | 竹千代 ノーブランド(ボール式) JapanValueBlueScrew |
6.グラフィックボード | RV6DE Radeon7000 64M |
7.サウンドカード | RMEDIGI 96/8 PST |
音質劣化の原因となる物は一切使用しません。またマザーボード,ケース,電源,グラフィックボード,サウンドカードにはそれぞれ音質向上の為のノイズの発生を防ぐ改造を行う予定です。
1.CPU ヒートシンクについて。
CPUと,CPUの発熱を冷却するヒートシンクですが,なぜ一番最初に紹介するかというと,この二つがHTPC内で最もノイズを放出するからです。
ノイズは即音質劣化に繋がりますので,いかにノイズの量の少ないCPUを選ぶか,またいかに放出されたノイズを効率良く吸収しマザーボードやサウンドボードに影響が出ないようにするかが大切です。
なお僕が購入したCPUはSocket370のCeleronです。それも周波数がたったの900MHzしかありません。今の単位に直せば0.9GHzのCPUとなります。intel製CPUはAMD製CPUよりもクロックあたりの演算能力が低いので,Athronの900MHzとは能力が全然違います。どのくらい低クロックかと言えば,DVDを再生するだけでCPU使用率は40%台まであがります。
CPUを選ぶにあたり,自作する方ならご存じかと思いますがCPUにはTDP(Thermal Design Power),熱設計電力という物があります。
つまりはCPUがどれだけの電力を消費するかの目安です。例えば僕がメインの自作機で使用しているCPUはSocket478のPentium4 3.0EGHzです。PrescottコアですのでTDPは89Wとなります。ハイエンドCPUですとAthlon
64 FX-60はTDPが110WですしCore 2 Extreme QX6700なんてTDPが130Wもあります。
では僕が選んだCPUはというと,なんとTDPたったのが26.7Wしかないのです。つまりLGA775のCPUを使用している時点で音質には限界が出来てしまうのです。ちなみに単純にwavファイルを再生するだけのパソコンにしてしまうならCeleron633MHzあたりまで周波数を下げてもギリギリ動作に問題はないそうです。Celeron633MHzはTDPがなんと16.5Wしかありません。さらに低ノイズですね・・。
次にヒートシンクについてですが,ヒートシンクは、CPUの電流消費によって、電磁波を出します。クロックが高いと輻射量がクロックのほぼ2乗に比例して大きくなります。つまりCPUが電力を消費して発生させた電磁波がヒートシンクをアンテナとしてHTPC内全体に放出してしまうという事です。ではヒートシンクが小さく,冷却用のファンが付いている,いわゆるCPUクーラーの方が良いかと言うと,ファンはとても速く回転し,つまりとても大きな振動源となってしまいます。電気が流れる箇所が振動するとそこからノイズが発生してしまうのでマザーボードやCPUに直接ファンが付くことはさけなければなりません。またFANの輻射ノイズを除去しようとコンデンサを取り付けても、ファン無しには劣ってしまいます。
上記の事から僕は左の画像のサーマルコンポーネント製の85EX60×60を購入しました。もちろんノイズ対策をしっかりと行います。
2.マザーボード メモリについて。
マザーボードもとても重要です。現在自作用パーツとして出回っている物,LGA775やSocketAM2用のマザーボードにHTPCに向く良い製品は残念ながらありません。どれほど改造をしても,元が悪ければ限界があるのです。CPUと同じくマザーボードも僕は中古品を購入しました。
某教授の有名HTPCサイトではASUSTek CUV4X-E WOAが選択されています。この教授の選択により同マザーは中古市場でもプレミアが付いてしまい,高い物だと数万円で取引されています。理論と実践に基づいた教授の選択はとても良い物ですが,元々限りある予算内でいかに良い物を作れるかが重要です。金に糸目を付けなければ良い物が購入出来るのは当たり前ですから・・。
僕が実際に購入したマザーボードは同じASUSTekのSocket370マザー,CUSL2-Cです。NorthBridgeはi815EP,SouthBridgeはなんとICH2です。現在最新マザーにはICH8が搭載されていますからいかに古いマザーかがわかります。他にもUSBは1.1だったりLANがなかったり・・。
マザーボードに搭載されいるオンボードビデオ,オンボードサウンドはそれぞれ強力なノイズ源となります。しかしビデオはともかくサウンドのないマザーなんて今時ドコのメーカーだって作っていません。その他通常マザーボードには音質的に不利な点がいくつか存在します。まずマザーボードにはオンボード機能以外にもノイズ源となる物があります。たとえばCPUソケット周辺には必ずインダクターという物があります。
これがインダクターです。こんな感じのコイルがマザーについてますよね。
詳しくはレンツの法則を参照して頂きたいと思いますが家庭用コンセントに流れている交流電源の電圧100Vを,パソコン用電源は各パーツに必要な電圧12Vや5V、3.3Vの直流電源に変換しています。その変換しているパーツをMOS
FETというのですが(アナログアンプでよく見掛ける単語ですよね?)ココで綺麗に変換出来なかった交流電源の残り=リップルをインダクターが平滑にしているのです。(平滑回路)
一般的にこの数が多い方がVRM回路のフェーズ数が多い事と同じですのでトロイダルコイルが多い方が高クロックなCPUを使用する場合は安定することが多いです。しかし1GHz未満の低クロックCPUを使用するのに8フェーズだの9フェーズは不要です。このマザーではトロイダルコイルは2つしか実装されていません。
トロイダルコイルとはその名の通りコイル=磁石ですからそれはもうもの凄いノイズ源となるのです。また丸く穴があいていると思いますがその穴がAGPソケット側を向いていると膨大な量のノイズがソケットに放出される事となります。このマザーは穴がマザーの板側を向いているのでノイズは下と上へ放出,ソケットへの汚染は少なくなります。
ちなみに最近のマザーですとコイル型ではなく棒型の物が使用されているのを見掛けますがこの形の物は磁束の漏れが多過ぎで,つまり損失が多いので性能が悪い上にノイズの量の莫大すぎて話になりません。狭い箇所で使用できるというメリットがありますが・・。
またもちろんICは全てノイズを放出しますからメモリがAGP,PCIスロットと平行に向いている物はメモリのノイズによって汚染されます。このマザーボードはメモリがソケットから見て垂直を向いているので大丈夫です。
このようにしてマザーボードを選択した訳ですが,もちろん無改造のままでは良い音質は得られません。マザーボードも出来る限り徹底的にノイズ対策の為の改造を施す予定です。
次にメモリですが,メモリも現在はDDR2-800(PC2-6400)が登場しています。これはメモリクロックは200 MHz,バスクロックは400MHzで動作します。細かい計算は避けますが,メモリもCPUと同じく周波数によって動作しますので,その周波数が高ければ高い程ノイズの量が増え,結果音質・画質が共に劣化してしまうといことです。CUSL2-CはPC133
SDRAM対応ですが,先に選択したCPU,Celeron 900MHzはFSBが100MHzしかありませんのでPC100 SDRAMで良い訳です。
実際に購入したマザーボード,ASUSTek ,CUSL2-C
3.ハードディスク DVDドライブ
ハードディスクドライブとDVDドライブですが,DVDドライブは一旦置いといて,まずハードディスクから考えていきましょう。
現在デスクトップPCで主流のハードディスクは3.5インチ7200rpmのハードディスクです。キャッシュは8MBか16MBが大半です。
しかしHTPCに高速なハードディスクは不要です。元々精々7,80MBのwavファイルの再生しかしないのであれば外部ストレージ,いわゆるNASにでも音楽データを保存してLANで引っ張ってきた方が音は良いではずです。
しかしNASでは電源も別途必要となり単純にトランスポートとして動作させるHTPC本体の横に玄箱みたいのが居座っていてもあまり見栄えはよろしくありませんし面倒です。
そこで僕は2.5インチハードディスクに目を付けました。2.5インチハードディスクとは基本的にノートパソコン用に設計さえたハードディスクで現在主流のモデルでは消費電力がアイドル時0.5W何て物もあります。振動も少なく,その分動作音も静かで言うことなしです。もちろんSDカードなんかでブートした方が消費電力は低くなるでしょうが容量辺りの価格は桁が違いますしそもそもCFにしろSDにしろそれらのカードはデジカメなどでの使用を想定されているためハードディスクのように日々何GBもデータを書き換えられるような動作には不向きなのです。読み出しはともかく書き出しに対する耐久性がハードディスクより断然低いのです。
実際に購入したモデルはHGSTの2.5インチ120GBモデル,HTS541212H9AT00となります。消費電力が最大5Wと一般的な3.5インチハードディスクの半分もありません。また流行の垂直記録方式でもあります。回転数は5400rpmです。
DVDドライブについてですが,特に目立ったHTPCに向いているドライブという物はありません。全ての製品が磁性体である鉄でケースが出来ていますし・・・。
消費電力の少ない,また奥行きが17cm程度の小型の製品が良いのではないでしょうか。ちなみにリッピングする際はWindowsのエラー訂正機能が働きますので基本的にリッピングしたwavファイルは理論上ドライブのによって音質が変化するなんて事はありません。
4.PCケース 電源
PCケースについてですが,詳しくは某教授の有名HTPCサイトに記されていますが,HTPC,もとい通常使用の為のPCケースでも素材はアルミニウムが最適です。
まずどのようなケースがHTPC用として向いているかというと自作PC用ケースとして最低限の機能を有している他に,音質・画質の劣化の原因となる各パーツが放出する電磁波(ノイズ)の悪影響を効率よく減衰してくれる素材で出来ている事が重要です。
常用金属では銅のシールド効果により低周波ノイズが,アルミニウムのシールド効果により高周波ノイズがそれぞれカット出来るようですが,銅は同時に内部の輻射を強く反射してしまう為ケースの素材には不向きです。なにより比重が高い上に高価です。
またHTPCはパソコンであると同時にオーディオ機器でもある為本体の振動に対してとても敏感です。振動することにって音質が低下するという事をオーディオのオカルト的要素だと言って邪険する方が大勢いますが電気の流れるところに振動が加わるとノイズが発生するというという理由があるのです。しかし目に見えない程の微振動で発生するくらいのノイズが果たして音質劣化に繋がるのかという疑問は残りますが・・・。(で音質とは各人の耳と脳による主観であり音の善し悪しを数値で表す事は出来ないのです。)
そこでアルミニウムは内部の輻射を強く反射しない他に振動の減衰特性が高いという特徴があります。しかし硬度の低いアルミニウムでは振動に対して有効な効果を得る事が出来ません。しかし専門家でもない一般人に金属の硬度まで調べる事は不可能です。また多数売られているケースをそれぞれ購入して調べるということは研究者でもなかなか難しい事ではないでしょうか。
ともすると内部損失が大きく,振動が容易に減衰する素材とは,厚みのあるアルミニウムが良い訳です。そこで僕はPCケースにOrigenAE製H5を選択しました。このケースは秋葉原のクラフトオーディオ店,麻布オーディオでも店頭で実際に使用されている物で,素材は全て純アルミニウム製で,更に側板もマザーボードを固定する下部の板もなんと4mm厚のアルミニウムです。天板のみ3mm厚だそうです。かろうじて天板は素手で力を入れれば少しは歪む,という程度の強度があり非常に頼もしいケースです。またHTPCケースではSilverStoneなども有名ですがこのメーカーは価格は安いものの金属の加工に若干の問題がありすぐにしなってしまう為とてもまともなHTPC用ケースとしては使用できないそうです。
このケースのその他のスペックは
ATXマザー対応(電源はMicroATX)
5インチ x 1、3.5インチシャドー x 1
W435 x T150 x D458 mm
ケースのみで4.5kg
となっています。マザーボードが横向きで設置するタイプのケースなので,まさに高級オーディオ機器といったルックスで,サイズもオーディオ機器と同じフルサイズです。僕は使用する際に天板のみ強度を補強しようと思っています。3,4mmの丁度よいアルミニウム板が手に入ると良いのですが・・。
電源についてですが,購入した上記のケースはマザーボードはATXサイズが搭載可能ですがそれのせいで電源は物理的制限を受けてしまいます。一般的なATX電源の搭載は不可で小型のSFX電源(MicroATX電源)が搭載可能となります。
となりますとSFX電源で一般的なパーツ店で購入可能でなおかつ高性能を謳っている製品は電源の名門,Seasonicが製造しているSS-350SFEだけとなります。よってこの電源を秋葉原TWOTOPさんで購入しました。
5.キーボード マウス ネジ
全てのパーツが音質に影響します。マウスだってネジだって例外ではありません。まずキーボードですが,無駄な機能がない物を選ぶ事。トラックパッドなどの機能はHTPCには必要ありません。それとUSBはノイズの量が膨大ですのでPS/2接続の物が良いです。それとNumLockはオフにした方が音質上は有利です。LEDが消費する分の電流がなくなるわけですから。
こんな事で変わるの?と僕も半信半疑でしたが麻布オーディオさんで実際に使用されているHTPCで試させて頂きました。NumLockキーを押してオン状態だった物をオフにした瞬間音色の曇りが少し晴れました。最初耳を疑い何度か試しましたが本当に変化したんですね。店員の方も一緒に店内に居た常連さんも一緒に行った友人:マイケルも間違いないと言っていました。もちろん通常のPCではそんな変化は起きません。微々たる差な訳です。しかし徹底的にノイズを排したHTPCではこんなところですら音質に変化が現れるのです。ここまで到着出来れば楽しいですね。
さて,となるとマウスは何を選択すれば良いかわかりますね。現在主流のマウスは光学式で,ロジクール製などの高性能な物はレーザー式です。しかし通常の光学式のマウスですと消費電力は100mA程もあります。一方で昔懐かしいボール式のマウスですと消費電力はたったの5mAしかありません。コレはもう相当の変化がでます。またキーボードと同じくUSBではなくPS/2接続の物を選びましょう。
そしてネジですがコレなどはもっと重要です。マザーボードには9本のネジを使用しますしファンには4本のテーパーネジを,ハードディスクにも4本のインチネジ,DVDドライブにも4本のミリネジ,電源にも4本のインチネジを使用しますから本体内には30本程ネジを使用します。そして通常のPC用のネジは磁性体である鉄製です。電流の流れるところの付近に磁性体があるとそこで電磁誘導が発生し,ノイズが発生してしまいます。昔Sansuiのパワーアンプでは銅ネジが使用されていましたがアレは見た目が良いからではなくこういった理由があったんですね。という訳で非磁性体で出来ているPC用のネジはJapanValueさんからでています。現行製品はRoHSに対応したFineScrewですが僕はBlueScrewを購入しました。特に理由はなくただ最初に高速電脳さんで手に取った方ですね。もちろんどちらも非磁性体です。麻布オーディオのWさん曰くネジはかなり重要との事です。まぁ使用する本数がかなりの数ですからね。
僕が使用する予定のキーボード,竹千代