マザーボード徹底改造
いよいよHTPCの改造も最終段階。
この最後の砦を越えた先に本物のHTPCの実力が見えてきます。
時間にして数十時間,予算にして3万円前後
こんなにも辛い作業は時給いくら?とききたくなるくらいです。
もちろん帰ってくる物は最高の音質。ただそれだけです。
ただそれだけの為に頑張ります。

実践される方は,当たり前ですが自己責任でお願いします。


1.具体的な改造内容
マザーボードの改造は最も効果的です。なぜならサウンドボードに給電される電力はPCIライン上ですが電源の20pinの給電ケーブルから最も遠い所にあるのがPCIなのです。大電力を消費するCPUにメモリにNorthBridgeにAGPにSouthBridgeの次にPCIなのです。綺麗な電力が供給出来る訳がありません。通常はCPUやAGPの時点で既に動作ギリギリの状態なのです。
また一枚の基盤に上記の様に数多くのノイズ源が載っています。それと同じ箇所に音質の肝であるサウンドボードを挿しているのです。良い環境とは言えません。

これにより,マザーボードの改造目的は

(1)給電能力向上
(2)電源ラインの安定化,それに伴うノイズ削減


となります。1についてはマザーボードの特に重要な箇所の電解コンデンサに良質な積層セラミックコンデンサを追加装備させることで解決します。
また2についてはその電解コンデンサを高周波特性の良い製品に交換します。どちらも予算の許す限り良い物を購入しましょう。ちなみにHTPCとして使用するならば目安としては日ケミならPSシリーズ,ニチコンならHNかHZ,ルビコンならMHZ,SANYOならOSコンのSPシリーズを投入してあげましょう。

※:電解コンデンサの選択に関して
HTPCはオーディオコンポーネントの一つですが中身はパソコンです。オーディオグレードの電解コンデンサに交換しても意味はありません。高周波特性の良い一般的なパソコン用電解コンデンサを選択しましょう。また耐圧は記載されている物の2倍程度余裕があると良いです。容量はそれほど神経質になる必要はありません。例えば元が6.3V 1000μFの台湾コンだった場合,日本製の上記の様な低ESRの良質な製品で,10V 820μFでも大丈夫です。もちろん容量は同じ物が揃えられるのであればそれに超したことはありません。
またESR値についてですが,極端に低ESRな電解コンデンサのみ選択した場合,最初の起動の充電時に電源にとても負荷が掛かります。場合によっては電源を破損しかねないのである程度バランスが必要です。またOSコンが高周波特性が良いのは確かですが全てOSコンにした場合音質がハイ上がりになる傾向だそうです。

さて,上記の事を踏まえまして,僕が実際に選択したコンデンサはこちらです。

少し画像がピンぼけしてますがコンデンサは下に表でまとめました。






















日ケミ KZE 10V 1000μF 日ケミ PS 25V 100μF
SANYO OS-CON SEPC 6.3V 1500μF 日ケミ 積層セラミック 50V 10μF ニチコン HZ 6.3V 1000μF


です。各コンデンサの解説として,KZEは高信頼/長寿命優先のコンデンサで,またESR値はさほど低くありません。コレは電源への負荷を低減させる為の使用です。
次にPSですが,コレは日ケミが世界に誇る機能性高分子コンデンサです。最強のコンデンサの部類に入るんでは・・?
そして下段右から,ニチコンHZですが,コレはニチコンのコンデンサの中で最もESR値の低いコンデンサで,高リプル優先タイプの製品です。
そして下段中央,日ケミ製積層セラミックコンデンサですが,音質向上テクニック:上級編にも登場しましたが,一つ350円もする物です。コレにより給電能力向上です。

そして今回最も入手出来てうれしいのが,下段左のSANYO OS-CONのSEPCです。ご存じOS-CONの,SPシリーズの更に上を行く,恐らく現在流通している電解コンデンサの中で最も高周波特性の良い導電性高分子コンデンサです。購入先の紹介を転載させて頂きますと,内部抵抗の低さ、リップル電流の耐量は電解液内蔵型コンデンサには真似の出来ない数値を有します。(中略)従来型コンデンサ からからの置き買えや過剰品質にこだわる方へお勧めの品種です。現在のMBの可能性を追求される方はお試し下さい。となっています。

コレ一個300円もする訳ですが,惜しげも無くCPUと電源周りの電解コンを全てSEPCにしてあげましょう♪セラコンも追加したらコンデンサ一カ所当たりなんと650円ですね・・・。

さて早速今着いている電解コンを外します。

さすがASUSですね。CPU周りには最初からSANYOのWGが採用されていました。既に通常使用には充分なコンデンサですが全部外して7本全部SEPCにしてしまいましょう!(多分SEPCですから1個取り替えただけでも凄い効果が出ると思います。)












2006,6,11追記
さぁいよいよ電解コンの置換が完了しました!その画像がこちら♪

どうですか?こんな感じに仕上がりました!各部の画像に参りましょう。

こちらがCPU周辺。パラレルポートの処理がテキトーなのはご愛敬。
全てOS-CON SEPC 6.3V 1500μFに置換しました。

























こちらがノースブリッジ周辺。OS-CON SEPCの他HZを大量に使用しています。超豪華!メーカー製マザーではまず真似出来ないグレードですね。ELZAのグラボなんかは良いコンデンサ使用してますけど。


























こちらがAGP・PCI周辺です。
空きパターンには日本ケミコン最強のPSシリーズの25V 100μFを2つ追加しました。若干容量が少ないかも。


























というわけで実際にマザーボードのコンデンサを置換したわけですが,セラミックコンデンサの扱いについて一つ書いておこうと思います。
最初セラミックコンデンサを18個追加したところ,PCIの電力不足でサウンドカードが起動しなくなりました。それから一つづつ外して,場所を変えたり電解コンを減らしたりして恐らく3,40回はマザーボードをハンダでイジってはケースに固定して起動して外してはハンダでイジってを繰り返したと思います。その結果僕の電源では,セラミックコンデンサを3個の時点でサウンドカードを認識しました。試聴した所確かにセラミックコンデンサがある-ないの場合ではあった方が解像度が高く,全体的にノイズレベルが低いということが一聴してわかりました。しかし力感,迫力と言いますか,そういったものがかなり控えめになってしまうんですね。ボーカルも凄く奥に引っ込んでしまったんです。ですのでセラミックコンデンサは全て外しました。勿論セラミックコンデンサが悪い訳ではなく,電源のパワーが足りず,セラミックコンデンサを追加することによってPCIの電流が不足してしまうんですね。ATX電源ならば最近は1200Wクラスの製品も登場していますがSFX電源では使用中の350W,5Vライン20Aが最高クラスですので,もし同じケース,同じ電源を使用する場合には注意が必要です。ATXサイズの5Vライン30A程度の最新電源を使用出来るのならばセラミックコンデンサを追加した方が確実に音質は向上するかと思います。

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